院長ブログ

院長 三浦 陽平

2026年 03月 02日

全顎治療(フルマウス治療)の期間はどのくらい?通院回数と治療完了までの流れについて

目次

みなさんこんにちは。
藤沢市鵠沼海岸にある歯医者、医療法人社団 くげぬま海岸歯科クリニックです。

「全顎治療(フルマウス治療)を考えているけれど、どのくらい通うの?いつ終わるの?」
このように心配される方は、とても多いです。

全顎治療は、すべての歯を再建する治療のため、どうしても“長い治療期間”は必要になります。
ただし、治療の順番と手法を最初に設計し、1回あたりの診療密度を高めることで、通院回数や負担を大きく減らすことは可能です。

この記事では、以下について解説します。

  • 全顎治療にかかる期間の目安
  • 治療開始から完了までの5ステップ
  • 通院回数を最小限に抑えるための当院での工夫

全顎治療にかかる期間の目安

全顎治療の期間は、矯正治療を併用するかどうかで大きく分かれます。

矯正治療を併用しない場合

  • 治療期間の目安: 約1年
  • 通院頻度の目安: 月3回前後
  • 1回あたりの施術時間: 平均90分(希望により平均120分の枠も可能)

矯正治療を併用する場合

  • 治療期間の目安: 約2年〜3年半
  • 通院頻度の目安: 月2回前後
  • 1回あたりの施術時間: 平均90分

矯正治療で移動させる歯の本数が多いと3年半の治療期間が必要になります。

治療期間が長くなる要因

  • 歯周病が進行している(歯科衛生士によるクリーニングに加えて、歯周外科再生療法が必要となるため)
  • 親知らずの抜歯やインプラントなどの外科処置が必要
  • 噛み合わせの再設計が大きい(顎位の安定に時間がかかり、プロビジョナルの複数回製作が必要)
  • 矯正治療を併用する
  • お仕事が忙しく、通院頻度を上げられない

逆に言えば、これらを踏まえて効率の良い治療計画を組み立てれば、“無駄な通院”を避け、最短ルートでゴールへ向かうことができます。

治療開始から完了までの5つのステップ

当院は、患者様との対話を重視しています。
『どのようになりたいか?』
『どこまで求めるか?』
患者様の望みは千差万別です。
あらかじめ、無理がないゴールを設定することが、スムーズな治療設計につながります。

ステップ1:精密検査(現状の“見える化”)

まずは現状把握が最重要です。

  • レントゲン/CT
  • 口腔内写真
  • 歯周病検査
  • 噛み合わせ・顎の動きの評価
  • 口腔内スキャナー(歯型取り)
  • 既往歴・過去の治療歴の確認

全顎治療は「ただ困っている箇所の歯を治す」のではなく、“なぜ噛み合わせが崩れたのか”を特定して再発させないことが本質です。

通院回数の目安:1〜2回

ステップ2:治療計画の作成(ゴールの設計)とお支払いの相談

次に、患者様と相談しながら治療のゴールと順番を決めます。

  • どの歯を残し、どの歯を抜くか
  • 歯周病治療の有無
  • インプラントの必要性と適正本数
  • 矯正治療の併用
  • どこから仮歯(プロビジョナル)を作製するか
  • 最終的な見た目(形・白さ・歯並び)
  • ホワイトニングを併用するか
  • 期間・費用・通院ペース

当院では、患者様・院長・担当歯科衛生士(必要に応じ矯正担当医含む)で、ゴールのイメージを共有してから進めます。
また、無理がない通院頻度と、無理がないお支払いのご相談もさせていただきます。
全顎治療はどうしても治療費が高額になるため、医療費控除を考慮した院内分割払いも選択可能です。

通院回数の目安:1〜2回(説明・相談)

ステップ3:土台づくり(炎症のコントロール・感染源の除去)

全顎治療は、最初から歯を削ったりセラミックを被せたりはしません。
家と同じく、見えない部分(歯根)を整えることが長持ちする秘訣です。

  • 歯周病治療(歯周病菌の除去)
  • 虫歯治療(虫歯菌の除去)
  • 根の治療(必要がある場合)
  • 不良補綴物(銀歯およびプラスチック冠)の撤去
  • 保存が難しい歯の抜歯(必要に応じて)
  • インプラントの手術(歯がない箇所がある場合)

この段階がしっかりできていないと、最終的なセラミック歯を入れてもトラブルが発生します。
お口の中の悪玉菌を可及的に減らし、、“炎症のコントロール”を先に完成させることがポイントです。

通院回数の目安:5〜12回(内容により変動)

ステップ4:プロビジョナルで噛み合わせを安定させる(力のコントロール)

全顎治療(フルマウス治療)の最重要工程がプロビジョナル(精密な仮歯)です。
皆さんが一般的にイメージする仮歯とプロビジョナルは全く別物です。
歯科技工士の先生が、最終的なセラミックと同じ形態の歯を強化プラスチックで作製したのがプロビジョナルです。
プロビジョナルを実際の生活の中で使っていただき、

  • 噛み合わせの高さ
  • 前歯の見え方(口元の印象)
  • 発音・滑舌
  • 食べやすさ
  • 顎関節と筋肉の調和

などを煮詰めていきます。
奥歯はしっかり噛み、前歯はふわっと噛む。
奥歯には縦向きの力が加わり、糸切り歯(犬歯)には横向きの力が加わる。
0.1㎜単位で全ての噛み合わせを設計することで、天然歯に近い精密形態再現、多点咬合設計、力の分散コントロールが可能となります。
プロビジョナルを必要に応じて複数回作製することで、噛み合わせを完成させます。

通院回数の目安:8〜16回

ステップ5:最終補綴(セラミック冠)をセット → メンテナンスへ

プロビジョナルで満足いただけたら、最終補綴物(セラミック冠)を作製します。
ここで大切なのは、プロビジョナルで得た情報を、できる限りセラミックへ反映すること。
そうすることで、最初から馴染む噛み合わせを構築できます。

治療が完了した後は、以下のメンテナンスを受けていただくことで、『炎症と力のコントロール』を継続していきます。

  • 歯周病の管理
  • 噛み合わせのコントロール
  • ナイトガード(必要時)
  • 歯科衛生士のクリーニング

通院回数の目安:8回
メンテナンス:通常 3〜6か月おき(海外在住の方は12ヶ月おき)

通院回数を最小限に抑えるための当院での工夫

1年以上継続して歯科医院に通うのは、時間のやりくりが大変だと思います。
当院では以下のような工夫を凝らすことで、患者様の貴重なお時間を無駄にしないことを心がけています。

1)口腔内スキャナー・デジタル活用で「作り直し」を減らす

当院の歯型採りは、インプラント上部構造もセラミック冠もすべてデジタルで行っています。
すべての被せ物において、最高精度を追求しています。
デジタルで精度を上げることで、無駄な作り直しが減り、結果的に通院回数を減らせます。

2)プロビジョナル(精密な仮歯)を重視し、最終補綴(セラミック冠)のやり直しを減らす

最終の歯を入れてから「やっぱりイメージと違う」は、また一からのスタートとなってしまいます。
仮歯の段階で徹底的に理想を突き詰めることで、無調整でセラミック冠が入るようにします。

3)治療を1度にたくさん進める(短期集中治療)

患者様に無理がない範囲で、

  • 同日に複数本の治療を進める
  • 検査・説明・処置の無駄な分割を減らす

当院の1回あたりの平均施術時間は90分。
希望があれば、120分の長い施術時間も選択できます。
短期集中治療で、通院回数のミニマム化が可能となります。

4)外科処置は静脈内鎮静法(睡眠無痛治療)も選択肢に

歯科治療への恐怖心が強く、治療そのものが高いハードルとなってしまう方もいらっしゃいます。
外科処置はもちろんのこと、静脈内鎮静法を併用して眠っている3時間のうちに一気に様々な治療を進めることも可能です。

5)見た目に配慮し、また常に噛む場所を確保する

全顎治療は最低でも1年はかかります。
その間に、患者様の日常生活に支障が出ないように配慮いたします。
具体的には、
『常に前歯には仮歯が入り、見た目が悪くならないこと』
『左右の奥歯どちらかには強度がある仮歯が入り、しっかりご飯を食べれること』
この2点が遵守されるため、治療期間中の食事制限や活動制限は特にありません。

まとめ

全顎治療の期間は、1年以上と長期にわたります。
しかし、精密検査で噛み合わせが崩壊した原因を突き止め、ゴールから逆算して工程設計を行えば、無駄な通院を減らし、最短距離で“噛める・笑える”状態を実現することが可能です。

もしあなたが今、

  • どのくらい通うのか不安
  • いつ治療が終わるか分からなくて怖い
  • 仕事や家庭の都合で通院回数を減らしたい
  • 今までもずっと歯医者に通ったけど、ドロップアウトを繰り返してきた

以上のようなお悩みを抱えていてもご安心下さい。
当院では、あなたのライフスタイルも踏まえて、『現実的に通えるペースで、治療を完了させるプラン』をご提案します。
通院するたびに治療がどんどん進み、
「気づいたら治療が終わっていた」と言っていただけることも少なくありません。

他院で入れたインプラントの調子が悪い方への全顎治療(フルマウス治療)例

年齢・性別

50代・女性

来院動機

右下の他院で入れたインプラントの調子が悪い。
そこで噛むと痛いので他の部位で噛んでいたら、全体的な噛み合わせもおかしくなってきた。
気がついたら、上下の前歯にも隙間ができてしまって困っている。

事前の精密検査

初診時のレントゲン写真

右下の奥側のインプラントは骨吸収が進んでしまったため、撤去する必要がありました。

初診時の口腔内写真

右側のインプラントの痛みを避けているうちに、下顎が左にズレてしまいました。
その結果、前歯も噛み合わなくなってしまいました。

治療方針

他院さんのインプラントだけではなく、全体の噛み合わせに問題があることを、患者様にご説明しました。

他院さんで埋め込んだインプラント2本のうち1本は活かし、当院で新規に4本のインプラントを埋め込んで適切な噛み合わせを作っていきます。
噛んでない前歯を含めて、セラミック歯を20本被せて、全ての部分で噛めるように設計していきます。

治療中のデジタルデータと精密な仮歯

インプラントとセラミック歯のデジタルデザイン。
合計25本の噛み合わせを、全て修正していきます。
動画データも活用し、患者様固有の顎運動を考慮したプロビジョナルを作製していきます。
3次元解析により完成した、プロビジョナル(精密な仮歯)を装着しました。
セラミック歯で20本分、インプラント上部構造で5本分のプロビジョナルが入りました。
この状態で1ヶ月ほど使用して頂き、再構成した噛み合わせに問題かないかをチェックします。

治療後のレントゲン写真

治療後の口腔内写真

治療開始から約1年後に、全ての歯がしっかり噛めるようになりました。
当然どこで噛んでも痛くありませんし、前歯の見た目も改善されました。

症例の治療に必要な標準的な費用

前歯プレミアムインプラント2本→990,000円(税込) 
《1本あたり495,000円(税込)》
奥歯プレミアムインプラント2本→990,000円(税込)
《1本あたり495,000円(税込)》
他院のインプラント上部構造やり変え→265,000円(税込)
前歯プレミアムセラミック10本→1,650,000円(税込)
《1本あたり165,000円(税込)》
奥歯プレミアムセラミック10本→1,430,000円(税込) 
《1本あたり143,000円(税込)》
ファイバーコア4本→44,000円(税込)
《1本あたり22,000円(税込)》
咬合再構成(全ての仮歯代とデジタルデザイン含む)25本→1,100,000円
《1本あたり44,000円(税込)》

総額6,469,000円(税込)

主なリスク・副作用

インプラント治療には「腫れ・痛み・違和感・出血・感染」などのリスクがあります。 
また、稀にインプラントと骨が結合しないことがあります。 
もし万が一、インプラントと骨が結合しない場合は、すぐに再埋入手術を無料で行わせて頂きます。
セラミックが、稀に欠けたり、外れることがあります。
当院のプレミアムインプラントとプレミアムセラミック治療には10年保証がついていますので、トラブル発生時には無償対応いたします。

この記事を書いた人
院長 三浦陽平

くげぬま海岸歯科クリニック 院長の三浦 陽平です。何歳になってもしっかり噛めるように、すてきな笑顔でいられるように、20年後・30年後を見据え、やり直しがない本当に良い治療を提供していきたいと思っています。

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