院長ブログ

院長 三浦 陽平

2024年 06月 07日

マウスピース矯正『インビザライン』の歴史

マウスピース

『インビザライン』はマウスピース矯正のリーディングカンパニーとして、世界110カ国以上、累計1,700万人以上の症例数を誇ります。
現在では、矯正治療の中でもスタンダードと言える存在とまでなりましたが、『インビザライン』がここまで患者様に支持されるまでには、たくさんの紆余曲折がありました。

マウスピース矯正を思いついたのはアメリカの大学生

1990年代中盤、アメリカのスタンフォード大学で経営学を専攻する2人の大学生、ジア・チシュティーとケルシー・ワースが、マウスピースで歯を動かす方法を思いつきました。
2人は子供時代に、ワイヤー矯正で辛い痛みや異物感を経験していました。
辛いワイヤー矯正のストレスを何とか無くしたい!
その結果として思いついたのが、取り外し可能なマウスピースでの矯正治療でした。

1999年 世界初のマウスピース矯正『インビザライン』での治療がスタート

ジア・チシュティーとケルシー・ワースは仲間を増やしながら、歯を動かしていくためのマウスピースの開発を進めていきます。
1997年、インビザラインを製作するための会社「アライン社」を起業。
1999年、世界初のマウスピースによる矯正治療『インビザライン』をスタートさせました。
歯科医師ではなく、経営学を学んだ2人が立ち上げたベンチャー起業からマウスピース矯正の歴史が始まったのです。
患者様の立場から、従来の常識に捉われない、矯正手法を思いついたとも言えますね。

2000~2010年代前半 『インビザライン』が世界に広まる。

従来の歯を動かす手法は、固定式で取り外し不可能なワイヤー矯正のみでした。
『インビザライン』には以下のようなメリットがあります。
・目立ちにくい。
・痛みが少ない。
・食事や大事な用事の際には、取り外しができる。
・取り外せるので、歯磨きがしやすい。
ワイヤー矯正にはない多数のメリットがあるため『インビザライン』はすぐに世界中の歯科医院で採用されるようになりました。
ただ初期の『インビザライン』には未成熟な部分も多く、前歯のガタガタの歯並びしか治せませんでした。
また、日本ではマウスピース矯正に懐疑的な意見を持つ歯科医師が多く、日本ではなかなか広まりませんでした。
私が学んでいた北海道大学での講義でも、マウスピース矯正は完全に否定されていたのを良く覚えています。
日本人はとても慎重な民族なので、なかなか革新的な手法が広がりにくい背景があるのかも知れませんね。
しかし世界中で『インビザライン』が流行したことにより、ついに2006年に日本でも『インビザライン』のサービスがスタートします。

2011年 アタッチメント iTero の提供をスタート

サービス提供当初は、まだまだ機能的に未熟な部分も多かったこともあり、適応できる症例にも限りがありました。
しかし『インビザライン』の開発チームに、歯科医師 歯科技工士 物理学者 理工学者 など様々な分野の研究者を集めることで、飛躍的にその性能が向上していきます。
流れ的には、AppleのiPhoneに似ているかも知れません。
2011年、自社開発の独自技術「アタッチメント」をスタート。
これは、他のマウスピース矯正にはない特徴で、「アタッチメント」があることで、3次元的な複雑な歯の移動が可能になりました。
また、同時にデジタル口腔内スキャナー「iTero」による光学印象(カメラによる歯形の採取)をスタート。
従来の粘土のような材質での歯形取りが必要なくなり、5分ほど口腔内をスキャニングするだけで、マウスピースを製作することが可能となりました。

現在 世界シェアNo.1を維持し続ける『インビザライン』

2018年くらいから、『インビザライン』に追随する様々なマウスピース矯正メーカーが登場します。
しかし、後発メーカの中に『インビザライン』のような高い機能を持つマウスピースはありません。
なぜなら、『インビザライン』を世界展開している「アライン社」がマウスピース矯正の肝である自社の技術を特許ですべて抑えているから。
特許の申請数はなんと550件以上!
IT、ビジネスモデル、マウスピース製造、口腔内スキャナーなど多岐に渡ります。
当院におけるマウスピース矯正は、すべて『インビザライン』を使用しています。
『インビザライン』でのマウスピース矯正をご希望する方は、ぜひ当院にお越し下さい。

すきっ歯を『インビザライン』で治した矯正治療例

年齢・性別

30代男性

来院動機

「すきっ歯」がずっと気になっている。
矯正装置を付けるのは嫌なので、マウスピース矯正『インビザライン』で治したい。

初診時の口腔内写真

初診時口腔内写真。
一番目立つ上の前歯が「すきっ歯」の状態です。
上顎の口腔内写真。
左側からの口腔内写真。
犬歯(糸切り歯)の奥にも隙間があります。
右側からの口腔内写真。
こちらは、犬歯(糸切り歯)の前に隙間があります。
下顎の口腔内写真。

治療方針

患者様のご希望通り、マウスピース矯正での治療計画を立てました。
当院では、矯正治療スタート前に精密な検査と診断を行なうことで、マウスピース矯正で問題なく歯が動くがどうかを予測しています。
マウスピース矯正には以下のようなメリットがあります。
・金具と針金を使用することがない。
・痛みも少ない。
・取り外しが自由にできる。

当院で使用しているマウスピースは『インビザライン』
マウスピース矯正のリーディングカンパニーであり、世界中で1,400万人以上の症例数を誇ります。
当院におけるマウスピース矯正は全て『インビザライン』で行なっております。
マウスピースを1日20時間以上使用できる患者様においては、どんどん歯が動いていきます。
奥歯の噛み合わせにそこまで問題がなく、前歯の隙間が気になるようなケースは、マウスピース矯正は有効な選択肢と言えます。

治療後の口腔内写真

矯正治療終了後の口腔内写真。
ワイヤーに頼る必要なく、ここまで美しい歯並びになりました。
マウスピース矯正でも、ワイヤー矯正と遜色ない仕上がりにすることができます。
左側からの口腔内写真。
奥歯もガッチリ噛むようになりました。
右側からの口腔内写真。
上顎の口腔内写真。
後戻りを防ぐために、上の前歯はワイヤーで固定しています。
下顎の口腔内写真。
下顎の前歯にもワイヤーによる保定装置を装着しました。

症例の治療に必要な標準的な費用(当投稿日現在)

 880,000円(税込) マウスピース矯正(インビザライン)

  • 調整費別途

主なリスク・副作用

きちんと歯磨きをしないと、虫歯や歯周病が進むことがあります。

この記事を書いた人
院長 三浦陽平

くげぬま海岸歯科クリニック 院長の三浦 陽平です。何歳になってもしっかり噛めるように、すてきな笑顔でいられるように、20年後・30年後を見据え、やり直しがない本当に良い治療を提供していきたいと思っています。

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