院長ブログ

院長 三浦 陽平

2025年 11月 04日

全顎治療とオールオン4の違いについて解説します。

みなさんこんにちは。
藤沢市鵠沼海岸にある歯医者、医療法人社団 くげぬま海岸歯科クリニックです。

今日は「全顎治療」と「オールオン4」の違いについて解説します。

全顎治療(フルマウス治療)とは?

対象

上顎と下顎の全ての歯を治療対象として、口腔内全体を一つの単位として治療していきます。

治療目的

・虫歯治療
・歯周病治療
・根管治療
・ホワイトニング
・矯正歯科治療
・インプラント
など複合的な分野にわたる歯科治療を総合的に計画して、施術していきます。
その結果として、口腔内全体の噛み合わせと見た目の美しさの回復を目指します。

治療方法

患者様の口腔内の状態により、様々な治療方法(通常のインプラント治療、矯正歯科治療、顕微鏡治療)をカスタムオーダーメイドで組み合わせて行なっていきます。
特定の決まったルーティンの術式があるわけではなく、その患者様ひとり一人だけの治療手順となります。

治療期間

残せる歯を極力残すのが全顎治療(フルマウス治療)のコンセプトです。
そのため、治療期間は約1年ほどかかります。
また歯並びの悪い箇所は歯列矯正をご提案することもあります。
その場合の、治療期間はトータルで約2年となります。

治療費用

3,300,000円〜8,800,000円(税込)

上下の歯が全くない、もしくはほとんどない方の場合は、8,800,000円(税込)
上下の歯がある程度残っている方の場合は、3,300,000円(税込)
オールオン4とは異なり、残せる歯が多いと治療費が安くなるイメージです。

オールオン4(All-on-4)とは?

対象

片顎(上顎もしくは下顎)の全ての歯を失った、もしくはほとんど残っていない方を対象とした治療方法です。

治療目的

最小限のインプラント本数(上下顎の場合8本、片顎の場合4本)で、上部構造(人工の歯)を支えます。
全顎治療(フルマウス)治療とは異なり、ご自分の歯を治療するのではなく、抜歯することで、早期に治療が終わるメリットがあります。

治療方法

上顎の場合、通常のインプラント治療では7本〜8本のインプラントを埋入します。
下顎の場合、通常のインプラント治療では6本のインプラントを埋入します。
対して、オールオン4の場合は、上下顎どちらの場合でも、4本のインプラントのみの埋入で済みます。
骨が薄いケースにおいても、骨を造るのではなく、インプラントを斜めに埋め込むことで対応するのが大きい特徴です。
即日で仮歯が入り、オペ当日から柔らかいものであれば、食べることが可能です。
フルオーダーメイドと言うよりは、セミオーダーメイドの治療といえます。

治療期間

4ヶ月で終わります。
治療期間が短い理由は、
・全ての歯を抜いてしまうこと
・骨を造らずインプラントを傾斜埋入すること
で、全ての患者様に対して画一的なプロトコールでの施術が可能となるからです。

治療費用

3,300,000円もしくは6,600,000円(税込)

上記は神奈川県の平均価格です。
片顎の場合は3,300,000円、上下顎の場合は6,600,000円となります。
クリニックさんによってはもう少し安く、片顎2,200,000円くらいのこともあるようです。

全顎治療(フルマウス治療)とオールオン4(All-on-4)どちらが良いの?

個々の患者様のお口の中の状態によって、どちらの治療方法が良いのかが決まります。
分かりやすく言ってしまうと、すでに総入れ歯を使用している方においては、オールオン4がお勧めです。
オールオン4は全ての天然歯を抜く治療方法ですから、逆に最初から総入れ歯を使用している方にはメリットが大きいと言えます。
逆に、一部分でもご自分の歯が残っている方の場合は、全顎治療をお勧めします。
長期的な視点で考えると、残せる歯は残した方が良いと言うのが、私の考え方です。

また、オールオン4は文字通り4本だけのインプラントで上部構造を支えます。
そのため、もし1本のインプラントが壊れたり歯周病になってしまうと、上部構造全体のやり変えが必要になってしまうデメリットがあります。
無歯顎(1本の歯も残っていない)の方の場合でも、永続性を気にされる方の場合は、全顎治療が良いでしょう。
もし、どこかにトラブルが生じても、比較的簡単な対応で上部構造を修理できます。

オールオン4のメリットは、
・治療期間が4ヶ月と短い。
・インプラントオペ即日で美しい仮歯が入る。
・治療回数も少なく、最短5回で終わることもある。
以上が挙げられます。

しかし、オールオン4は治療回数が少なく治療期間が短い代わりに、正直なところ永続性には劣るというのが、私の考えです。
よって、当院の基本的なスタンスとしては、全顎治療を患者様にはお勧めしています。
全顎治療の患者様にはたくさん来て頂いていますが、オールオン4の患者様はほとんどいません。
(患者様の強い要望がある場合のみオールオン4をやっています。)

どちらの治療方法にもメリットとデメリットがありますから、患者様にはしっかり説明を聞いて選んで頂くのが良いと思います。

全顎治療(フルマウス治療)で噛み合わせを再建した治療例

年齢・性別

80代・女性

来院動機

長年、入れ歯を使用しており、硬いものを食べることを我慢していた。
インプラントでしっかり噛めるようになりたい。
また部分入れ歯の金属のバネも嫌なので、見た目を良くしたい。

治療内容

初診時のレントゲン写真

上顎の残り少ない歯の状態は非常に悪いことが分かります。

初診時の口腔内写真

長年の入れ歯の使用で、上の歯はグラグラでした。
上顎の口腔内写真。
下顎の口腔内写真。
入れ歯が使用している時はこのような感じです。
金属のバネが目立ちます。

治療方針

患者様とご相談した結果、上顎は歯茎が人工物になってしまうオールオン4ではなく、より天然歯に近いボーンアンカードブリッジによるインプラント治療を行うことになりました。
上顎には7本のインプラント埋入、下顎には4本のインプラント埋入と前歯4本のセラミック修復、で快適な噛み合わせを再建する計画を立てました。
治療期間は9ヶ月ですが、元々使っていた入れ歯も活用することで、歯がない不自由な期間はありません。

治療中のデジタルデータ

上顎奥歯のインプラント埋入ポジションのシミュレーション画像。
最終的なセラミック歯をあらかじめデジタルデータで再現しておくことで、理想的な位置にインプラントを埋め込むことが可能となります。
上顎前歯も同様のシミュレーションを行うことで、オペ時間を短縮することができます。

治療後のレントゲン写真

シミュレーションで想定された理想的な位置に全てのインプラントが埋入されました。

治療後の口腔内写真

上顎には12本のインプラント上部構造(セラミック歯)、下顎奥歯には4本のインプラント上部構造(セラミック歯)、下顎前歯には4本のセラミック歯が入りました。
天然歯とほぼ同じ形態をボーンアンカードブリッジでは再現することができます。
下顎も天然歯と同じ形態を模倣することができました。

全顎治療(フルマウス治療)担当歯科技工士の紹介

当院の全顎治療(フルマウス治療)における、全てのインプラント上部構造とセラミック歯の作製を担当しているのは、歯科技工士の高畑寿也先生。
これまで手がけてきた全顎治療(フルマウス治療)の症例数は1,000以上と、抜群の技術と経験を有しています。
私と高畑先生がタッグを組むことで、患者様に何でも食べれる最高の噛み合わせを提供いたします。

症例の治療に必要な標準的な費用

上顎無歯顎用ボーンアンカードブリッジ→4,400,000円(税込)
下顎奥歯インプラント4本→1,760,000円(税込)
《1本あたり440,000円(税込)》
下顎前歯セラミック4本→528,000円(税込)
《1本あたり132,000円(税込)》
下顎咬合再構成8本→264,000円(税込)
《1本あたり33,000円(税込)》

総額 6,932,200円(税込)

主なリスク・副作用

インプラント治療には「腫れ・痛み・違和感・出血・感染」などのリスクがあります。 
また、稀にインプラントと骨が結合しないことがあります。 
もし万が一、インプラントと骨が結合しない場合は、すぐに再埋入手術を無料で行わせて頂きます。
当院のインプラント治療には10年保証が付いていますので、ご安心下さい。
セラミックが稀に欠けたり割れたりすることがあります。
当院のプレミアムセラミック治療には10年保証が付いていますので、トラブル発生時には無料対応いたします。
(半年に1回の検診が、保証の条件となります。)

この記事を書いた人
院長 三浦陽平

くげぬま海岸歯科クリニック 院長の三浦 陽平です。何歳になってもしっかり噛めるように、すてきな笑顔でいられるように、20年後・30年後を見据え、やり直しがない本当に良い治療を提供していきたいと思っています。

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