院長ブログ

院長 三浦 陽平

2026年 09月 13日

骨が薄い場合に骨造成手術は必要?サイナスリフトを行わずに3ヶ月で奥歯を再建したインプラント治療について解説します!

みなさんこんにちは。
藤沢市鵠沼海岸の歯医者、くげぬま海岸歯科クリニックです。

骨を増やす手術を提案されたことがありませんか?

インプラント治療の相談をされた際に、
「骨が薄いので、まず骨を増やす手術(サイナスリフト)が必要です」
「増やした骨が安定するまで時間がかかるため、治療は1年がかりとなります」
「大きい病院での入院が必要です」
などと説明を受けたことがある方もいらっしゃると思います。

もちろん、骨が大きく不足している場合には、骨造成を行った方が良いこともあります。
しかし私は、
「骨が薄い少ない=骨を増やす手術が必要」
とは考えていません。
骨が少ない場合でも、プラスアルファの外科手術を避け、患者様の身体的精神的負担を少なくできる手法を常に追求しています。

今回は、当院で実際に治療した症例をもとに、骨が薄い場合のインプラント治療について解説します。

こちらの患者様の骨の厚みは約2ミリでした

70代・男性の患者様の初診時レントゲン写真。

右上の奥歯を1本失い、しっかり噛めないことでお困りになり、当院を受診されました。
他院や総合病院では、骨量が少ないため骨造成手術が必要で、治療期間も1年以上かかると説明を受けていたそうです。

CT写真を撮影したところ、確かにインプラントを埋め込みたい部分の骨は非常に薄く、厚みは2ミリほどしかありません。

このように骨が薄い場合は、サイナスリフトと呼ばれる大規模な骨を増やす手術を行ってからインプラントを埋める手法もあります。
しかし、骨造成手術を行えば、その分だけ手術回数と治療期間が増えてしまいます。
当院では、骨造成手術を極力避けるような治療計画を立てています。

初診時の口腔内写真。

奥から2番目の歯を失ってしまうと、とてもご飯を食べにくくなってしまいます。
なぜなら、奥から2番目の歯(第一大臼歯)は、咀嚼において非常に重要な役割を担う歯だからです。

側方からの口腔内写真です。

外側の歯茎が痩せてしまっていることがわかります。

「骨を増やす」のではなく、「人工物の形態を工夫」する

インプラントはこのような3層構造です。

インプラント治療では、
・骨内に入るインプラント本体(人工歯根)
・土台となるアバットメント
・上部構造となるセラミック歯
を組み合わせて歯を再建していきます。

一般的には、メーカーがあらかじめ製作した既製品である「既製アバットメント」が使用されています。

このようにメーカーが用意しているラインナップから最適なサイズを歯科技工士が選択していきます。
既製アバットメントのメリットは、納期が短く、既製品のため製作工程を標準化しやすいことです。
よって、論文ベースやエビデンスベースにおいても、既製アバットメントを使用してのインプラント治療は標準治療とも言えます。
しかし、あくまでも既製品ですので、患者様個々の歯肉の形態や角度に細かく合わせることはできません。

そこで、患者様一人ひとりに合わせて専用設計された土台として「カスタムアバットメント」があります。

カスタムアバットメントの利点として、
・歯茎の形
・インプラントの位置
・最終的な歯の大きさ
・全体の噛み合わせ
・強度の向上
・色調の細かいコントロール
などを考えながら、土台の色と形をフルオーダーメイドにデザインできます。
今回の症例では、カスタムアバットメントを使用することで、骨造成手術を行わない治療計画を立てました。

生体側の負担を最小限にして、人工物の精度でカバーする

骨が少ない部分を全て手術によって補おうとすれば、患者様の身体的かつ精神的負担は大きくなってしまいます。
また、治療費用が多くかかってしまうデメリットもあります。
「人工物の設計を工夫し寸法精度を向上させることで、骨を増やす手術を行わなくても、問題なくしっかり噛める」
ことを当院では、日々実践しています。

今回も、インプラント本体とセラミック歯を接合するカスタムアバットメントの形態を工夫することで、最終的に奥歯として求めれる形態と強度を確保する治療計画としました。

インプラントの手術時間は15分

オペ前の口腔内写真。
まずメスで切開していきます。
直径2ミリの細いバーで小さい穴を開けていきます。
薄い骨を特殊なドリルを逆回転で使用して、圧縮して広げていきます。
真円に近い穴が完成しました。
直径5ミリ長さ7ミリのショートインプラントを埋め込んでいきます。
骨が薄くても、歯列のアーチに沿った位置にインプラントが埋め込まれました。
インプラントの全周に骨が一層残っていることがわかります。
オペ時間はわずか15分。
最後に2本だけ縫ってオペ終了となりました。

3ヶ月で最終的なセラミック歯が完成します。

その後、インプラントと骨が生着するのを待ち、カスタムアバットメントを使用した上部構造を製作しました。
シルバーの部分は、患者様の歯茎のラインに寄り添う形になっていることがわかります。
カスタムアバットメントを使用してインプラントのプラットフォームからの立ち上がりを大きくすることで、骨造成手術を避けることができました。
シルバーの部分を人工骨で補うか金属で補うかの違いとも言えます。
奥歯として硬いものでもしっかり噛めるように、強度と精密な噛み合わせを考慮しつつ、歯茎とのつながり(馴染み)に配慮した形態を設計しています。
シルバーの部分が歯茎とピッタリと密着することで、ご飯が挟まることもありません。

「大きな手術をすること」が目的ではありません

治療スタートから3ヶ月後のレントゲン写真。
骨が薄かった分、上部構造が長く大きくなっていることがわかります。
しかし強度と耐久性が向上するカスタムアバットメントを使用することで、しっかり噛める状態を回復できました。
治療スタートから半年後のレントゲン写真。
全体の噛み合わせも安定し、しっかりなんでも食べることができています。

私の診療理念として、難しい症例に対しても、複雑で大掛かりなオペは行わず、できるだけシンプルな手法で対処することを心掛けてします。
インプラント治療の目的は難しい手術を行うことではありません。
しっかり噛めて、見た目も美しい、自然な歯を再建することです。

シンプルな手法ゆえに、痛みと腫れも少なく、治療期間も短く、無駄な治療費をカット、できます。

治療回数4回で精密で自然な歯が入ります

治療スタートから3ヶ月後の口腔内写真。
機能性に優れ、歯茎とも馴染む、美しいセラミック歯(インプラント上部構造)が入りました。
カスタムアバットメントを使用することで、歯茎に密着しつつ強度に優れた形態を付与することができました。

骨が足りない=骨を増やす手術
というのが従来のインプラント治療の考え方でした。
しかし、大掛かりな手術は、患者様の負担が大きいこともありますし、治療回数が増えてしまい、結果として治療期間の長期化につながります。
足りない部分を生体側で補うのではなく、人工物側で補償すればいいのでは?というアプローチがカスタムアバットメントを使用したインプラント治療です。
他院や総合病院で、骨を増やす手術を提案された、治療期間が1年以上にわたる、と言われてお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。

症例の治療に必要な標準的な費用

合計495,000円(税込) *治療期間3ヶ月 治療回数4回 *インプラント本体・上部構造ともに10年保証

奥歯用インプラント→440,000円(税込)
カスタムアバットメント追加料→55,000円(税込)

主なリスク・副作用

インプラント治療には「腫れ・痛み・違和感・出血・感染」などのリスクがあります。 
また、まれにインプラントと骨が結合しないことがあります。 
万が一、インプラントと骨が結合しない場合は、すぐに再埋入手術を無料で行わせていただきます。

この記事を書いた人
院長 三浦陽平

くげぬま海岸歯科クリニック 院長の三浦 陽平です。何歳になってもしっかり噛めるように、すてきな笑顔でいられるように、20年後・30年後を見据え、やり直しがない本当に良い治療を提供していきたいと思っています。

院長の投稿一覧